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March 13, 2008

牧野 剛『30年後の「大学解体」』(ウェイツ)

なぜか今回は特別早く、amazonで注文してから24時間しないうちに来た。

基礎教養ゼミでのマキノ節を思い出しながら一気に読了。面白い。何が面白いかって考えてみると、牧野さんが話していた全共闘運動時代のことが当時は知識不足で半分ほどしか理解できなかったのだけどこの本を見てわかったということもあるし、教育界・予備校の内情が分かって面白いというのもあるのだけど、この本はインビュー調で書かれていてやっぱりなんと言っても話が面白いんだな。以前牧野さんにご飯に連れて行ってもらった時、「こういう場では身内だけでなく誰もにうける面白い話の一つや二つ持ってないといかんぞ」と言われて順番に話させられた時はものすっごいプレッシャーだった。

牧野さんは名古屋大学で、東大と京大に挟まれたこの地区の全共闘運動の指導者として活躍した。全共闘運動は「大学解体」を叫んで活動したのだけど、セクトと言って所属する党派によって内ゲバを起こしていた。それを牧野さんは「まあまあ」と言って説教してくっつけてまとめていた。その後、予備校講師になり河合塾の全国展開に大きく功労を残す。

党派に入らなければうまく行かないのだったら、自由にやらせてくれればどこでもいい。
(中略)
全学連をつくるんだったら党派同士の激突を回避するほうが重要だろうと思いました。
(中略)
ところが中央からは「何人動員するんだ」とか「党派闘争をやれ」とか、ばかなことばかり言ってくる。自分たちは全員金がないので、革マル派だけは来なかったけれども、中核派も社青同もブントも無党派も全員同じ電車で全国闘争のため東京に行くわけです。東京に着くとパラパラッと別れて、会場ではそれぞれの党派ごとに殴り合いをやらなければいけない。そして帰りもまた同じ電車で一緒に帰らなければいけない。だって団体だと安くて、半額になりますから(笑)。(pp.27-28)
芽嶋さんは「教科書不使用」や、エンタープライズ号寄港阻止闘争、佐世保闘争に生徒を連れていったということで解雇され、裁判をやって最高裁でも負けた。 (中略) 芽嶋さんは教科書不使用だけど、いつもプリントを配って授業をやっていたわけです。そのころ大学入試がどんどん変わって小論文がやられるようになりましたが、従来の科目の否定としてつくられたのですから教科書なんかやっていると小論文はできないのです。 (中略) この皮肉がどこまで行くかというと、なんと小論文の対策が高校でできなくなった福岡県教育委員会が「小論文指導の先生をよこしてくれ」と河合塾に言ってきた。それで高校を首になった芽嶋さんが指導に行ったんです(笑)。(p.34)
少子化でつぶれるんじゃないかと言われて、実際2010年には浜松地区は浪人生ゼロ、何とか地区もゼロとデータが出てきても、内部の8割ぐらいの人は何も変わらないだろう、われわれだけは大丈夫だろうと思っています。 (中略) それで塾側が「生徒の人数に応じて給料を減らしたい」と言うと抵抗するわけです。しかし、50代半ばの連中に、もう自分たちは給料を減らされてもいいと決意している奴が多いんです。「自分の給料を1コマ90分切れば、若い奴が2コマになる。こいつにそれを回してやってくれ」と言っている奴が僕の周辺に10人ぐらいいます。 河合塾の「自己否定」の全共闘派は、まるで企業に協力する「ワーク・シェア」みたいに見えるけれど、そうではなく、全共闘をやった以上は企業に長々といるべきではなかったし、「おれたちは流れ者だ」という意識が強い。(pp.91-92)

うちの大学にも何名か河合の一派が流れているが・・・・・・あんまり内情を書くと怒られるか。


タイトルにあるのは、全共闘運動から30年がたった今、文部科学省が「大学解体」を行っているという意味。しかしこれタイトルの付け方がいまいちなんじゃないかと思う。もっとキャッチーなの付ければ興味を持つ人はいそうなのに。あと目次に小見出しまで載せてほしい。2002年出版。

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