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March 05, 2007

立花隆「ぼくが読んだ面白い本・ダメな本そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術」(文芸春秋)

最新刊である「ぼくの血となり肉となった五〇〇冊そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊」は読んでみたいと思っていたが、図書館で先にこの本を手にしたので読んでみた。立花隆氏は、本をむさぼり読んでいる。後述する連載のために、一度本屋に行くと、2,30冊の面白そうな本をワーッと買い集め、サーッと目を通すそうである。しかしそれもあくまでも副次的なもので、個人的な読書生活ではそれ以上の(取材対象の下調べ等で)仕事上に必要な本を読んでいる。こんな調子で資料の山はすぐに増殖していくから、必要な時にいつでも取り出せるようにと、地上3階地下2階のビルを自前で建ててしまって保管庫としているほどだ。

この本には、氏が週刊文春に連載している「私の読書日記」から95年11月30日号~01年2月8日号の分と、それに序論と、特別編<『「捨てる!」技術』を一刀両断する> を加え収録している。モノを貯め込むことに罪悪感を感じ始めていたオレだが、期せずして援護射撃を得てしまった。ちなみにこれより以前の分は「ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論」に収録されている。


多くの本を速く読むためのヒントは「必ずしも全文通読する必要はない」ということ。このような話は速読のテクニックとしてはよく聞く話だが、オレ自身の経験ではそれで内容を理解できるかは疑わしく思っている。だが、氏の説明ですんなり理解できたのは、「音楽的読み方」と「絵画的読み方」を使い分けるということ。「音楽的読み方」は順に言葉を辿って丁寧に流れを追っていく読み方で、小説などのストーリーを楽しむものの場合はこの読み方が必要なことも多いが、有意義な情報を得るために読む本はほとんど「絵画的読み」ができる。目次などで全体の構造をしっかり理解して、要所要所飛ばしながらも深い読みが必要なところだけを「音楽的読み」するという方法。人間の目は意識せずともぱっと見て重要な部分をしっかり拾う力があるそうだ。毎日何十もの新しい本が世に出てくる昨今、読み方以前に、読むこと自体が無駄と思われるカスみたいな本もあるのでそれの見極めも必要である。

各パラグラフの頭のセンテンスを読むだけでもその本の流れが相当つかめるという。大事なことは大抵頭の数行に書いてあるからで、時間に余裕があれば加えて尻のセンテンスも読むのが良い。ところでこれはどこかで聞き覚えのある話・・・・・・その手法は基礎教養ゼミの牧野先生の教えに似たところがあることに気付いた。入試問題で出る評論文を読み解くには実は、要約を作ることが最も良い方法だという教え。元の文章で重要だと思うところ数行に線を引いていく。その部分を抜き出して組み合わせる。イメージとしては元の文章の論理構造そのままに忠実な縮小版を作ること。少しでも下手な改変をすると作者のニュアンスとは変わってしまうので、接続が不自然なところを直す以外は基本的に引用だけでいい。これをやることで本文の内容はしっかり把握できるし、問題で問われるような部分も自然とその中に絞られていることが多い。速読とは違って何度も読み込まないとできない作業なのだが、そうして作った要約は結果として、パラグラフの頭と尻のセンテンスで構成されていることが多いのだ。

氏は、文芸春秋社で記者をしていた時、恐い上司に「どんな本だって3分(ないし5分)あればその内容を言えるもんだ。」と怒鳴られたそうである。ここでも要約の大切さが証明されているようである。


読書は、(そしてこれはテレビやインターネットという他の媒体についても同じことが言えると思うのだが)学びを与えてくれる一方で、咀嚼の無い丸飲みには危険が伴なうということをこのように忠告している。

本に書いてあるからといって、何でもすぐに信用するな。自分で手にとって、自分で確かめるまで、人のいうことは信じるな。この本も含めて。(p.76)

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